本記事は『世界遺産検定 2級』の対策記事です。
記事中の内容に間違いなどが有ることに気づかれた方はご連絡いただけると幸いです。
はじめに
今回が2回目となる2級対策記事です。
本記事では『世界遺産の基礎知識』でよく問われる部分をご紹介していきます。
引用)https://www.sekaken.jp/example/detail.html
配点比率を見てもわかるように、2級における『基礎知識』の配点は20%と、かなり大きな割合を占めています。
それでいて問われる内容は限られていますのでかなり得点に結びつけやすい部分ですので、ここは必ず得点源にしましょう。
『世界遺産の基礎知識』ポイント
世界遺産条約で定められている内容
- 世界遺産リストと危機遺産リストの作成
- 世界遺産委員会や世界遺産基金の設立
- 遺産保護のための国内機関の設置
- 教育・広報活動の重要性
- 世界遺産に社会生活の中で機能・役割を与える必要性
- 世界遺産を保護・保全する義務や責任はまず保有国にある
- 世界遺産条約の締約国は、遺産の保護・保全に協力すべき
まず世界遺産条約の内容に関して。
これらは正誤問題で内容を問われることが多いです。
赤字の部分はよく別の言葉に入れ替えて誤りの選択肢として出現したりします。
誤りの例としては『世界遺産を保護・保全する義務や責任はまずUNESCOにある』、『UNESCO加盟国は、遺産の保護・保全に協力すべき』などなど。
あとは前回の記事で紹介した『世界遺産の登録基準』が書かれている、というのも並んだりします(誤りです。これは『世界遺産条約履行のための作業指針に書かれています。)。
世界遺産誕生までの流れ
世界遺産がどのようにして生まれたのか、これは順を追って記憶しておく必要があります。
正確な年号を問われる事はありませんが、「出来事を起こった順番に並び替えよ」というかたちで出題されます。
語呂合わせが得意な方は年号ごと覚えてしまうのが楽なのかもしれませんけどね^^;
並び替えの対象にされやすいものは次のとおりです。
- 1872年
イエローストーン国立公園 誕生 - 1931年
アテネ憲章 採択 - 1946年
ユネスコ憲章 発効 - 1948年
IUCN 設立 - 1954年
ハーグ条約 採択 - 1960年
ヌビアの遺跡群 救済キャンペーン開始 - 1964年
ヴェネツィア憲章 採択 - 1965年
ICOMOS 設立 - 1972年
世界遺産条約 採択 - 1978年
最初の世界遺産 12件誕生 - 1992年
世界遺産センター 設立 - 1994年
グローバルストラテジー 採択
3つの憲章
1931年:アテネ憲章
1945年:ユネスコ憲章
1964年:ヴェネツィア憲章
この3つの順番と特徴は覚えておきましょう。
アテネ憲章は、『第1回 歴史的記念建造物に関する建築家・技術者国際会議』で採択された、建造物の保存・修復に関する考え方を示したものです。
最も重要な特徴は、近代的な技術や材料を用いての修復方法を認めている ところです。
なぜなら、ここが後のヴェネツィア憲章との大きな違いでよく問われる部分だからです。
ヴェネツィア憲章は、『第2回 歴史的記念建造物に関する建築家・技術者国際会議』で採択されたもので、先のアテネ憲章と同じく、建造物の修復などに関するものです。
こちらは 修復の際には建設当時の工法や素材を尊重しよう ということが示されており、前述した通りここがアテネ憲章との最大の違いです。
また、この考え方に基づいて『ICOMOS』が設立されています。この『ICOMOS』の部分をいろいろイジって誤りの選択肢を作ったりされますのでよく覚えておきましょう。
ユネスコ憲章はその名の通り、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)設立に関するもので、名前が示す通りなので大丈夫でしょう。
時期がアテネ、ヴェネツィアの間に入ることだけ覚えておきましょう。
ハーグ条約
紛争の際などにいかにして文化財を守るか、という方針を定めたものです。
『武力紛争の際の文化財の保護に関する条約』という正式名称を選ばされることがありますので、何が定められてるんだっけ、ということは覚えておきましょう。
IUCN・ICOMOS
IUCNが自然遺産の登録に、ICOMOSが文化遺産の登録にかかわる機関です。
IUCN:国際自然保護連合
ICOMOS:国際記念物遺跡会議
この正式名称は問われることがあります。
どっちがどっちなのかを覚えておけば、あとは自然遺産保護っぽいやつ、文化遺産保護っぽいやつ、という程度で選べるでしょう。
あとそれぞれの本部が、
IUCN→グラン(スイス)
ICOMOS→パリ(フランス)
というのもできたら覚えておくとよいでしょう。まぁそんなに聞かれないです。
さて、設立に関してです。
まずUNESCOが発足したのちに、『平和のとりで』(UNESCO憲章 前文より)のひとつとして「国や民族の枠を超えてみんなで自然保護やっていこうぜ」ということでIUCNが設立されました。文化財保護に関するICOMOSはそこから20年弱の後に設立されているわけですが、これはそれまでのヴェネツィア憲章を元にしています(さっき言いましたね、これ大事です)。
しかし、「自然と文化材、分けて保護するのは現実的じゃないな…』ということになり、まとめて保護していこうぜという流れで設立されたのが世界遺産条約わけですね。
世界遺産条約・最初の世界遺産
世界遺産条約は1972年に採択、最初の世界遺産は1978年に登録された全12件です。
これに関しては年号自体が問われることがよくあるので覚えておくとよいでしょう。
【文化遺産】
キトの市街(エクアドル)
クラクフの歴史地区(ポーランド)
アーヘンの大聖堂(ドイツ)
ラリベラの岩の聖堂群(エチオピア)
ヴィエリチカとボフニャの王立岩塩坑(ポーランド)
メサ・ヴェルデ国立公園(アメリカ)
ランス・オー・メドー国立歴史公園(カナダ)
<負の遺産>ゴレ島(セネガル)
【自然遺産】
イエローストーン国立公園(アメリカ)
シミエン国立公園(エチオピア)
ナハニ国立公園(カナダ)
ガラパゴス諸島(エクアドル)
また、以上の12遺産に関しては『最初に登録された遺産ではないものを選びなさい』という形で、この中から3つ+別の遺産1つという形で選ばされたりしますので覚えておいたほうが良いですね。
複合遺産はない、ということも知っておくとよいでしょう。
世界遺産の登録基準
世界遺産の登録基準に関しては以下の記事でまとめていますのでこちらで確認をしてください。
長くなりますので別記事で続きをまとめます。
(執筆中……)
練習問題
それでは今回も確認問題です。
実際の問題を想定した類題となります。
『世界遺産条約』の採択された年(A)と、採択された会議(B)の組み合わせとして正しいものはどれか。
- (A)1972年-(B)ユネスコ総会
- (A)1972年-(B)国連人間環境会議
- (A)1978年-(B)ユネスコ総会
- (A)1978年-(B)国連人間環境会議
1. 1972年-ユネスコ総会
世界遺産条約の1972年という年号は覚えましょうと記事で書いた通りです。
なお、世界遺産条約は『国連人間環境会議』で一度まとめられたのちにユネスコ総会で採択されています。
よって採択された会議はユネスコ総会です。
世界遺産に関連する次の出来事を起こった順に並べなさい。
- ICOMOSの設立
- 世界遺産センターの設立
- ユネスコの設立
- ハーグ条約の採択
- アテネ憲章の採択
E→C→D→A→B 本番は並び替えたものの選択肢がありますし、並び替え自体も4つであることが基本ですが、少し難易度を高くしてみました。 とりあえずアテネ憲章は早いです。これより早くて選択肢に入ってくる可能性があるのは『イエローストーン国立公園の誕生』(1872年)くらいです。 またIUCNもICOMOSもユネスコ発足後ですから C.ユネスコ発足 は早い段階で来ますね。 問題がハーグ条約です。これが入ってくるところが覚えにくいかなと思い、あえて入れてみました。 『世界遺産条約』の説明として誤っているものはどれか。2つ選べ。 2. と 4. 2. 4. 世界遺産の保護・保全の義務は 『ICOMOS』設立の原則となった考え方を示した憲章は次のうちどれか。 2. ヴェネツィア憲章 逆パターンでヴェネツィア憲章からICOMOSを選ばされる場合もあります。 『IUCN』の正式名称は次のうちどれか。 2. 国際自然保護連合 1.はICOMOS、3. はICCROMです。 世界で最初の世界遺産として、正しくないものはどれか。 4. トンガリロ国立公園 トンガリロ国立公園は『世界で最初の文化的景観が認められた遺産』として有名です。 逆にそれを知っていれば正しくないことが分かります。
また、世界遺産センターはだいぶ遅いです。これより遅くて選択肢に入ってくる可能性があるのは『グローバル・ストラテジー の採択』(1994年)くらいです。
ユネスコ加盟国すべてが世界遺産条約を締結することが義務付けられている。
→そのような記載はありません。事実、日本は1951年にユネスコに加盟していますが、世界遺産条約を締結したのは1992年とずいぶん遅くです。ユネスコにあることが定められている。
→正しくは『保有国』。この選択肢はめちゃ出ます。
サービス問題なので必ず得点にしましょう。
文化的景観は世界初の世界遺産が生まれたときにはまだその概念がありませんから。